Yes My Lordから始まるアンデッド少女との交流!完全純愛RPGが行き着く先には?

異世界ファンタジーで、死者を操る「死霊術」を使うのは、だいたい悪役。
しかし、「そこに真実が隠されている」としたら?
Yes My Lordは、ひょんなことからネクロマンサーとなった主人公と、1人のアンデッド少女の物語です。

最強のアンデッド少女カガリビ

荘厳だけど、出口が見当たらない、地下墓地の中。
目を覚ました主人公は、訳も分からないまま、暗くジメジメした場所を彷徨います。

戦闘するのはアンデッド少女

『Yes My Lord』と、あらゆる命令に従うのは、アンデッド少女のカガリビ。
「どうして、ここにいるのか?」も不明だが、彼女を使役しなければ、自分が助からないことだけ、分かっている。

オープニングでは、謎の女フォクシィに意味深なセリフを言われた後で、イベントからの戦闘へ……。

主人公は学者タイプで、直接の戦闘が苦手。
ゆえに、アンデッド少女のカガリビに戦わせることで、敵を倒していきます。

チュートリアルの初戦闘が終わったら、本格的な探索のスタート。

Hシーンもアンデッド少女

まるで、特別な人物であったかのように、1人だけ、離れた場所に棺があったカガリビ。
彼女の素性が気になるものの、危険な魔物が襲ってくる中で、考えている暇はない。

主人公は、手に入れた死霊術で、『Yes My Lord』と答えるカガリビを戦わせつつ、脱出を図ります。
けれど、フォクシィには目的があるようで、その思惑を含めて、様々な謎が立ちはだかることに……。

すでに死んでいるカガリビは、驚異的な戦闘力です。
ダメージを受けても、肉体を再生することが可能。
生身の主人公は、彼女に頼ることで、邪魔な敵を排除しつつ、その性欲も発散していく流れ。

不気味な地下室から始まる物語

驚くのは、立ち絵のカガリビが、瞬きをすること。
髪の毛も風にそよぐ感じで、アニメの一場面をみているかのよう……。

上の画像で分かる通り、一部のHシーンも動きます。
まあ、同人エロゲだから、「上下に動き続ける」のように、単純ですけど。

主人公はプレイヤーと同じ視点で、「何も知らない」という状態。
だから、説明的な独り言を交えつつ、状況を一から説明してくれます。

最初は、カガリビが他人行儀……というか、最低限の受け答えだけ。

いきなり情報の洪水にせず、「プレイヤーの代理である主人公が、理解できる範囲」に留めつつ、物語が進行していきます。

落ちこぼれと死者の純愛

最高学府のアカデミーで「秀才」と称されたが、その才能ゆえに、潰された主人公。
安酒をツケで飲み続けた末に、叩きのめされた後に、いきなり地下墓地で目覚めます。

元賢者と正体不明のカガリビ

地下墓地から生還するために、死霊術とカガリビによって、地上へ出た主人公。
新たな力を得て、「アカデミーを見返す!」と意気込むものの、外には見知らぬ世界が広がっていました。

主従関係にあるカガリビは、共に冒険する中で、どんどん人間らしい言動に……。

メインストーリーは、一本道。
これに、後から戻って対応する【ギミック】、あるいは、【レアエネミー】がいます。
自分でメモを残しておけば、効率よく行えるでしょう。

カガリビは、1人で戦闘をこなします。
それゆえ、【衣装による、スキルの変更】が、大きな意味を持つのです。
素材を入手することで、そのドレスにおける、パッシヴスキルでの戦力アップ!

【成長システム】によって、戦闘中にも、リアルタイムで成長します。
「強敵と戦う中で、相手よりも強くなる」という、少年漫画のような展開も?

謎の女フォクシィの目的は?

酔ったままで、ゴミの山に埋もれていた主人公。
彼を地下墓地へ連れ込んだのは、全てを知っている素振りのフォクシィです。

魔術書を与えたうえで、カガリビが眠っている棺の部屋へ追い込んだ彼女は、いったい何を企んでいるのか?

謎が謎を呼ぶ展開ですが、最終的に、点と点がつながり、感動的なエンディングへと……。

フォクシィと名乗った女は、「主人公が優秀である」と知ったうえで、攫った可能性が高いです。
つまり、他から注目されていないが、誰よりも優秀な人間に、何かをさせたい。

死霊術は、おそらくは禁術でしょう。
主人公と出会った時の問いかけでも、「今の世界を滅ぼす」といった願望が。

巻き込まれ系としてのデスゲーム

主人公は、巻き込まれました。
死霊術とカガリビを使うしかない、自身の生き残りをかけたゲームに……。

その理由は、全く分からず。
だけど、抵抗しなければ、主人公が死ぬだけ。
カガリビは、すでに死んでいるから、これに無関係。

戦う時には、主人公が死霊術を使い、カガリビの回復、または、バフなど。
それぞれにSPを消費しますが、ターン消費がなく、戦闘の勝敗を左右する要素です。

実質的に、「カガリビが前衛で、主人公が後衛」の役割分担。
主人公はモヤシのため、彼女がいなければ、助かりません。

難しい題材を上手く仕上げた

ゾンビは、死体です。
『Yes My Lord』のカガリビは、生身に近いものの、やっぱり死んでいます。

ゾンビ女は前提から破綻している

同人エロゲーではなくても、「主人公はヒロインと結ばれる」ということが大前提。
一般向けでは、あえて寸止めで、お互いに綺麗なまま。
18禁については、遠慮なく行為に及び、愛し合うのです。

カガリビは、冷たい色の肌。
となれば、Hシーンにおいても、交わるはずがない存在との濡れ場です。
この時点で脱落するユーザーは多く、それはDLsiteの販売数にも表れています。

一般向けでは、ゾンビ女が流行った時期がありました。
有名な『さんかれあ』は、ヒロインの散華礼弥(さんか れあ)について、最終的な扱いに困ることに……。

制限がない『Yes My Lord』では、異世界ファンタジーとして、壮大な物語になっています。
でも、主人公を通して感情移入をする側は、「ゾンビ女を愛せるのか?」の問いに答えなければなりません。

もっと売れて欲しい名作

身も蓋もないことを言えば、「アンデッド少女」の設定がなければ、もっと売れました。
むろん、この『Yes My Lord』において、「カガリビが死んでいる」という事実が必要ですけど……。

30日間ランキングに留まっているのは、おかしいです。
もっと売れるはずなんですよね、これ。

オープニングでも、流れるように、状況が進みます。
アニメを見ているような感覚で、「必要な情報を必要なだけ」という、洗練された構図。

BGMも、ゴシックホラーにぴったり。
マップの描き方、広さも程よく、全体的にセンスが良いです。

安易なグロに頼らず、純愛ルートだから、こういった雰囲気のゲームの入門用にも……。

どこまでも2人だけの空間

敵は多くいますが、プレイヤーの視点では、「自分とカガリビの逃避行」です。

一緒に困難を乗り越えていき、芽生える愛情と信頼。
事務的な対応だったカガリビは、やがて自分の意志で、主人公に尽くします。

ダンジョンの探索で、数々のアイテムを入手して、カガリビを強化。
スキルの解放となる、シスター服のような、様々なドレスは、彼女1人で多くのプレイを担当させることに……。

『Yes My Lord』は、主人に絶対服従のゾンビが、ヒロイン。
ゆえに、「死霊術の反動による、性欲の増進」という動機付けで、Hシーンへ。

無表情で行っていたカガリビは、やがて愛しい恋人を見る表情で、プレイに応じます。

美貌を損なわない程度の傷だから、人外としてはマイルドな外見。
そこを乗り越えられれば、感動的な場面を見られます。

良質なラノベを読むような感動

ヒロインをNTRされず、敗北エロもない、完全純愛。
『Yes My Lord』と答えるカガリビは、常に主人公を支え、愛しています。

冒頭から物語に引き込まれる

アニメと同じ、スピーディーな展開。
独自の戦闘システムによって、軽快な動きによるカガリビを楽しめます。

主人公がサポート役に徹するのは、ゲームでは珍しいですね。
「女に対して、完全に受け身」のM男とも違う、変わったポジション。

主人公が、カガリビの主人。
最初は命令に従い、戦闘やHを続けます。
そこから、自我を取り戻し、愛する男を守るため、喜ばすために……。

形は違えども、「いきなり惚れるのではなく、少しずつ分かり合う」という、ラブコメの手順も踏んでいるのです。

本来は出逢わないはずの2人が、プレイ後にピロートークをする場面は、下手な恋愛モノより微笑ましい光景。

戦闘システムはカードデッキに近い

『Yes My Lord』の戦闘は、左右に敵と味方が並んでの、ターン制コマンドバトル。
画面に映るのはカガリビだけで、事前にセットした【スキル】の中から選択して、【アサルトゲージ】がなくなるまで、連続攻撃!

レベルアップすれば、最大HPとGP(大ダメージを避けるための、ガードポイント)が上昇。
それ以外のステータスは、前述した通り、戦闘中にも成長します。

敵を倒しての【Soul】は、スキルの習得、強化へ。
ドロップした【ジェム】を装備すれば、能力値の底上げです。

どのシステムも、「コンボを決めつつも、相手の弱点を突き、敵を薙ぎ倒していく」という、無双のような戦闘を助けています。

アンドロイドを異世界ファンタジーに

そもそも、「人形の女を愛する」という『ピグマリオン』や、「理想の淑女を育てる」という『マイ・フェア・レディ』に見られるように、古典的なテーマです。

SFであれば、アンドロイド少女が、人間の男を愛したような状況……。

『Yes My Lord』は、そのファンタジー版。
問題は、棺で眠っていた死体……アンデッドであること。

今のWEB小説だと、「なんちゃって中世」だから、ファンタジー世界にもアンドロイドが出ますけどね……。

ともあれ、この世界は死霊術がある、ゴシックホラー。
禁忌の術に手を出した主人公は、『Bloodborne』のような空間で、カガリビを戦わせ、愛し合います。

魅惑的なゴシックホラーの世界

中世っぽい世界観は、どこか退廃的で、死の臭い。
主人公は、カガリビを従えたことで、多くの化け物を吹っ飛ばし、謎に迫っていきます。

どこまでも冒涜的で死と滅びだけ

『シニシスタ SiNiSistar』と同じで、死者が動き、生者を襲う世界。
こちらの『Yes My Lord』は、襲ってくる敵と同じ存在である、アンデッド少女に戦わせます。

同人エロゲであるのに、けっこうな割合で、通常CGがあります。
総基本CG42枚(立ち絵・差分を含まず)で、HCG26枚(アニメHの11シーンを含む)という、内訳です。

『Yes My Lord』は、コマンド選択による、ターン制。
ゆえに、「アクションゲームは、ちょっと苦手……」という方にも、楽しめます。

細かく変更できるため、「敵の種類に合わせて、カガリビの装備を変える」という遊び方がオススメ!
後回しのレアエネミー、ギミックも、忘れずに回収。

動き回るカガリビを見ているだけで楽しい

横スクールの画面で、SDキャラが戦います。
右にいるカガリビは、指示した通りに攻撃を行い、次に敵のターンへ。

斜め上からの見下ろしではなく、真横からの視点。
ゆえに、「敵がグループでも、1つとしてカウント」の判定です。

いずれにせよ、「相手のガードを破壊して、大ダメージの攻撃を叩き込み、コンボへつなげる」という、戦術的な組み合わせが必要。

「空中へ打ち上げて、打上特効で追い打ち」と、自分の好みで戦えるのが、『Yes My Lord』の醍醐味の1つ。

ドロップの【装飾品】は、ソウルイーターに頼むことで強化。
カガリビ1人でも、やり込み要素が多いです。

マルチエンドだが連続で発生する

『Yes My Lord』はマルチエンディングですが、少し特殊。
「個別エンドを見たら、ロードして、また違う個別エンド」という流れ。

それで、最後にトゥルーエンドが、待っています。

カガリビと築き上げてきた絆。
その雰囲気を壊さないために、このようなシステムを採用したのでしょう。

感動的なエンディングを見た後で、別の結末を見るために「ご命令を」というカガリビに初期化されたら、別の意味で泣けますし……。

「売れ筋」と言いにくい分野ですが、丁寧に作られた名作。
同人エロゲーだから実現した、「1人の少女と紡ぐ物語」を見たい方は、ぜひ地下墓地を訪れてください。